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ストキャスティクスは勝てるのか ── 16年検証の判定

× この検証で見つけられる大きさの優位は無かった

📜 1950年代にジョージ・レーンが考案。「価格は勢いの後についてくる」という彼の言葉は有名ですが、その勢いで先が読めるかは別問題でした。

結論

80/20の逆張り・%Kと%Dのクロス、いずれも単体では「でたらめと区別がつかない」判定です。

📈 当ラボの実測
プラス率33%(36指標中23位圏)。%K期間・閾値を4,000試行で探索しても、選抜設定の3分の2は凍結期間でマイナス。

⏳ いつ・どこで効いたか(3つの足×銘柄別の実測)

各マスは「その時代より前のデータだけで選抜した上位10設定のうち、その時代のOOS(選抜に使っていない期間)でプラスだった本数」。10/10なら上位設定が全部プラス、0/10なら全部マイナス。下の小さい数字は上位設定のOOS取引数の中央値です(設定ごとに取引数は異なり、検証・OOSとも10回未満の設定は選抜前に足切り済み。それでも少ないマスほど偶然が混ざります)。左=2010年代(OOS 2015-19)・右=2020年代(OOS 2023-26)。

銘柄1時間足4時間足日足
2010年代2020年代2010年代2020年代2010年代2020年代
ドル円2/10
取引427
7/10
取引446
3/10
取引140
6/10
取引50
3/10
取引34
8/10
取引25
ユーロ円2/10
取引553
4/10
取引267
0/10
取引128
2/10
取引171
5/10
取引36
10/10
取引17
ポンド円0/10
取引768
10/10
取引273
0/10
取引96
3/10
取引189
0/10
取引35
10/10
取引18
ユーロドル10/10
取引305
9/10
取引524
2/10
取引197
5/10
取引97
9/10
取引26
4/10
取引19
ポンドドル10/10
取引301
2/10
取引315
4/10
取引161
5/10
取引120
5/10
取引54
4/10
取引26
豪ドル/ドル3/10
取引288
10/10
取引379
9/10
取引163
10/10
取引96
8/10
取引49
8/10
取引21
金(ゴールド)3/10
取引445
9/10
取引351
8/10
取引129
0/10
取引98
0/10
取引32
10/10
取引22

使えるとしたら ── 最も一貫したのは豪ドル/ドルで、6マス中5マスが8/10以上(唯一の例外は1時間足の2010年代3/10)。一方ポンド円の1時間足は2010年代0/10→2020年代10/10と真逆に反転。42マス中8/10以上は16マスありますが、時代をまたいで安定したのは豪ドルだけ、が実測です。

相場つき別(4時間足・凍結期間の1トレード平均pips)

銘柄トレンドレンジ高ボラ低ボラ
ドル円-0.5-3.0-4.3+16.3
ユーロ円-37.8-13.6+1.9-30.2
ポンド円-10.4-2.1-6.1-1.3
ユーロドル-8.8-13.8-59.2-4.3
ポンドドル+14.5+3.8-2.7+13.5
豪ドル/ドル+11.5+3.3-12.5+8.3

※正直な注意: ①この分解は結果を後から条件で切った記述統計であり、事前に予告された戦略ではありません。細かく切るほど偶然の濃淡も混ざります(データスヌーピング)。②損切り・利確・保有本数の探索範囲は4時間足を想定した値のため、日足と金では相性の悪さが数字を押し下げている可能性があります(切り分けの確認はしていますが、完全には分離できません)。③金は1pips=0.1ドル・往復コスト4.0pips(当ラボの実測3.5pipsより保守側)・データは2026年6月まで。④相場つき別の表は4時間足の計測(金は対象外)。時代別の表とは別の計測のため、直接の突き合わせはできません。観測が少ないセルは「—」表示。

なお、この判定は上記の標準的な設定の範囲で測ったもので、あなたの使っている設定に合わせた調整はしていません。自分の期間・閾値・損切り幅で確かめたい場合は、まぐれ判定つきバックテスター(無料)でそのまま試せます ── 効くかどうかを決めるのは、この表ではなくあなたの検証です。

📏 この「×」の正確な意味

「効かない」ではありません。「16年測ったが、この検証で見つけられる大きさの優位は無かった」です。16.6年・6通貨で測ると、年率シャープの数字は手法によらず前後0.22ほど揺れます(期間の長さだけで決まる量)。この揺れに埋もれない大きさ ── 年率シャープ0.62以上が、当ラボが8割の確率で見つけられる下限です。実務的にありがたい0.30程度の優位は、本当にあっても中央28%しか見つけられません。加えて×は4関門を全部落ちたという意味で、真に0.30の手法が4関門を通る確率は8.6%(=本物でも9割は×になる)。

したがってこの判定から言えるのは、「この手法に期待してよい上限は、年率シャープ0.62未満」までです。ゼロだとも、マイナスだとも言っていません。辞書トップの「検出できる下限」に詳しく書いています。

期間別に測るとどうだったか

この辞書の記号は16年8ヶ月をまとめて1つに測った結果です。「全期間で測るとこうなる」という限定つきの事実であって、いつの相場でもそうだという意味ではありません。

では「昔は効いた」と書けるか ── 書けませんでした。48指標の減衰を2通りの時代の区切り方で測ったところ、2つの結果の相関は r=+0.28(並べ替え検定 p=0.056)。区切り方を変えると順位が入れ替わる指標が多く、「賞味期限」の多くは手法の性質ではなく区切り方の産物でした。

そこで主張は足さず、事実だけを並べます。「2014-17年に測ったらこの値だった」は来年も変わりません。変わり目があるかどうかは、表を見たあなたが決めてください。

全4期間を測り終えています。

2010-13±0±0.37 / n=1064
2014-17-0.49±0.46 / n=1091
2018-21-0.49±0.45 / n=1111
2022-25±0±0.48 / n=1099

読み方: 数字は期間内の年率シャープ(コスト控除後・同一の土俵で測定)(年率シャープ)。±0=値が自分の誤差(標準誤差)より小さく、ゼロと区別できない。n=◯=取引数が30回未満で、数字を出す意味がない。=別の区切り方で測ると符号が変わったセル(この数字は区切り方に依存します)。未測定=まだ測っていない。悪かったという意味ではありません。なお、この表の ±0n=◯4年ごとに切った1つの期間の話で、ページ冒頭の判定記号(×=16年通しで見つけられる大きさが無かった / n=16年通しでも回数が足りない)とは粒度が違います

測定日: 2026-08-28 / 対照分割(2年×8)と突き合わせ済み

なぜ「効く」ように見えるのか

RSIと同じ構造の問題です。行き過ぎの指標はレンジでは効いて見え、トレンドでは張り付いて逆行し続けます。どちらの相場が来るかを事前に知る方法がなければ、差し引きゼロ以下です。

よくある疑問

Q. スローストキャスなら?

A. 平滑化はノイズを減らす代わりに遅れを増やします。検証上、優位の源にはなりませんでした。

Q. 他の指標と組み合わせれば?

A. 条件分岐を増やした総当たり検証では、生き残りは偶然の期待と同数でした。組み合わせは魔法ではありません。

それでも使うなら

単体シグナルとしては非推奨。
関連ツール: 🌡️ 相場の体温計(状態把握なら毎日自動計算) / 指標の見方はストキャスティクスの解説ページ

🔬 検証条件(実際の検証コードから転記)

対象: 6通貨ペア(ドル円・ユーロドル・ポンド円・ユーロ円・ポンドドル・豪ドル/米ドル)×4時間足×約16年分
手順: パラメータの格子からランダムサーチ4,000試行で探索 → 訓練期間(〜2018年末)と検証期間(〜2022年末)で選抜 → 成績は凍結期間(2023年〜)のみで評価(選抜に使った期間の成績は使わない)
コスト: 全取引から往復1.0pipsを控除 / 各取引にレジームタグ(トレンド/レンジ=ADX・高/低ボラ=ATR)を付与
この指標の探索格子: %K期間{9,14,21}×下限{10,15,20,25}×上限{75,80,85,90}の格子を探索(逆張り・順張り両方向)

🔬 この判定の「なぜ」を、証拠ごと

全手法の判定一覧は判定辞書トップスコアボードに。検証の中身(データ・手順・落とし穴)は note の検証記事群でどうぞ。

全手法スコアボード(note・無料) →

判定は当ラボの実検証(過去データ)に基づく要約であり、将来の結果を保証せず、特定商品・手法の断定的否定でもありません。本ページは教育目的であり、投資助言ではありません。