「高金利の通貨を買って持っているだけで、金利差(スワップ)がコツコツ貯まる」── キャリートレードは、最も古くて人気のある稼ぎ方の一つです。トルコリラやメキシコペソの「高スワップ生活」に憧れた人も多いはず。でも本当に儲かるのか。当研究室が9通貨・16年を、金利まで含めて検証すると、答えは「平時にコツコツ稼ぎ、数年に一度の暴落で一気に失う」非対称な手法でした。
🔬 この検証の要点(数値サマリー)
米ドル・ユーロ・ポンド・豪ドル・NZドル・加ドル・円に加え、高金利のメキシコペソ・トルコリラまで9通貨。高金利通貨を買い、低金利通貨を売って、金利差(スワップ)も値動きも両方込みで損益を計算しました。すべてコスト込み・先読みなし。"価格チャートだけ"でなく、キャリーの本体である金利を入れて測るのが肝です。
平常時、キャリーは金利差をコツコツ積み上げてプラスを出します。ところが数年に一度の危機が来ると、高金利通貨が一気に売られ、積み上げた利益を一瞬で吐き出す。とくに新興国(トルコリラ・メキシコペソ)を含めると、暴落は−40%級。一方、先進国(G10)に限ると暴落は−8〜13%に収まり、穏やかなプレミアムが残りました ── ただし統計的にはぎりぎりです。「いつでも儲かる」ではなく、「平時に薄く稼ぎ、たまに大きく失う」非対称な取引でした。
金利差は"タダ"でもらえるのではありません。高金利の裏には、その通貨が急落するリスクがある。平時に受け取る金利は、いわば「いつか来る暴落」を引き受ける保険料です。だから普段はプラスでも、危機では保険金を払う側に回る。高スワップほど、暴落の破壊力も大きい ── トルコリラがその典型でした。
どの通貨で・どの期間に・どれだけのプレミアムと暴落が出たか、価格だけで見ると評価がどう変わるか、そして「順張り(モメンタム)」の正体まで、note の記事に詳しくまとめています。キャリートレードは本当に儲かるのか ── 平時に稼ぎ、暴落で失う。鍵はチャートに映らない「金利」(note)
「持っているだけで儲かる」は、半分本当で半分嘘でした。平時はコツコツ、暴落で一気に ── 受け取っていた金利は、暴落リスクの前払いだったのです。新興国を避け、先進国で薄く、守りとセットで。キャリーの優位は、金利を見ない価格チャートには映りません。
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